フジ(藤)

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_DSC1296ノダフジ黒竜  画像の大きさ8256x5504

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フジ(藤)

別名:のだふじ(野田藤)

英名:Japanese wisteria

学名:Wisteria floribunda

界 : 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : 真正バラ類I Eurosids I
目 : マメ目 Fabales
科 : マメ科 Fabaceae
亜科 : マメ亜科 Faboideae
連 : フジ連 Millettieae
属 : フジ属 Wisteria
種 : フジ W. floribunda

形態:つる性落葉広葉木本

花序:総状花序。

花期:4~6月

花色:紫、ピンク、白、黄色。

原産地:日本の固有種。本州・四国・九州の温帯から暖帯。低山地や平地の林縁、崖、林の中など。

 

フジ(藤)の名前は一説には、風が吹く度に花が散るので「吹き散る」の意である「フヂ」と呼ばれていたそうで、、中国の同属の植物の漢名「紫藤」から「藤」の字をもらって、フジ(藤)となった、と言われています。

元々「藤」の字は、藤本(とうほん)を意味し、蔓植物 (つるしょくぶつ) を指す言葉ですね。その昔は繊維植物としても重宝したそうで、万葉集にも、海女(あま)の藤衣(ふじころも)と表現した歌があります。

0413: 須磨の海女の塩焼き衣の藤衣間遠にしあればいまだ着なれず

藤衣とは、藤のつるの繊維で織った粗末な衣の事だそうです。

 

別名を のだふじ(野田藤) と言いますが、これは摂津国野田村藤之宮(現在の大阪市福島区付近)の地名に由来します、「吉野の桜、高尾(高雄)のもみじ、野田の藤」と言われるほどの、野田村はフジ(藤)の名所でした。

室町幕府の二代将軍足利義詮は、貞治三年(1364)住吉詣での途中、野田に立ち寄り野田の玉川の藤を見て

「いにしえの ゆかりを今も 紫の ふし浪かかる 野田の玉川」

                         と詠みました。

明治になって、ここの藤を植物学の権威、牧野富太郎博士がみて、「ノダフジ」と命名したとされています。牧野富太郎博士は、朝ドラ「らんまん」のモデルとなった方ですね。

万葉集には、藤を詠った歌が二十六首あるとされています。上の歌もそうですが、其の内の多くが藤を藤波と表現しています。藤波(ふじなみ)とは、藤の花が風で波のように揺れる様子を表す言葉ですね。藤の花房が波の打ち寄せるような動きをしていることから、藤波と呼ばれています。

 

同属の近種であるヤマフジ(山藤)は、フジ(藤)が山で野生化した物と良く誤解され勝ちですが、近種ですが異種ですので注意が必要です。似ていますが、フジ(藤)の蔓は右巻き、ヤマフジ(山藤)の蔓は左巻き、と違いがあり、覚えれば簡単に区別がつくと思います。

 

藤の蔓を高くのばしてはわせるために、竹や木を渡してつくった棚から、垂れさがる花を鑑賞できるようにした物を、藤棚(ふじだな)と言いますが、昔は、書院や床の間の脇に造られる事が多かったようですね。書院窓から眺める藤棚は、さぞかし美しかった事でしょう。

 

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